集団に属していないと食べ物や寝床がなくなって生きていけない。
これは原始時代の名残とも言える、人間の本能です。
そのため「拒絶」には誰しも本能的な恐怖を感じるもの。ただ、ADHDの人はもっと極端に拒絶を恐れているように思います。

私もADHDで「拒絶される=世界の終わり」と考えてしまう。
でも、拒絶への恐怖で病む理由って、意外と説明がつく気がします。私なりの考えを今回は語りますね。
ADHDが拒絶を恐れる(拒絶過敏性がある)3つの理由


拒絶感受性障害・拒絶敏感不快症といった呼び方もあり、ADHDは特にこれらが伴いやすいんだとか。
自分の過去から考えると、拒絶に強い恐怖を感じるのには、次のような理由があるのではと感じました。
1.脳の特性(ドーパミン不足?)
ADHDの人はドーパミンが不足しがちなためか、他者からの承認や肯定的な反応で一瞬で舞い上がる感じがある気がします。



脳汁出る。
その分、拒絶されるとその逆で「強い痛み」として感じやすいのではなかろうか。
2.幼少期からの「否定される経験の積み重ね」
ADHDの私は、幼少期から「失敗が多い」「忘れっぽい」「衝動的」などの特徴により、何度も注意・指摘を受けてきました。
- 何でそんなこともできないの?
- またミスしたの?
- ちゃんとしなさい!
こうした言葉を繰り返し受けることで、「自分はダメな人間だ」「みんなと違う」という自己認識が形成されたように思います。「拒絶=存在を否定されること」と思う出来事がめっちゃあったわけです。
特に、幼少期に「否定的な言葉を浴びせられた経験」「親や先生の期待に応えられなかった経験」が多いと、拒絶への恐怖はより強まるのではないでしょうか。
3.人間関係へのトラウマ
- 話しすぎてしまう / 話に割り込む(衝動性)
- 約束や返信を忘れる(不注意)
- 空気が読めず誤解される(情報処理のズレ)
その結果、「人から嫌われた」「相手を怒らせた」経験が積み重なり、やはり拒絶への敏感性が強まっているように思います。
「今は関係が良くても、自分の言動ひとつでまた拒絶されるかも」と常に不安を感じ、予期不安に近い心理があるようにも感じます。
ADHD特有の拒絶過敏性への対処


結局、「拒絶された、もう終わりだ」と感じること自体は仕方ないです。過去の経験や脳の特性は、今すぐにどうこうできるものではないから。
でも、その感情をいかに上書きするかが肝心な気がします。
1.「拒絶=自分への否定ではない」と意識する
拒絶されたとき、多くのADHDの方は「自分そのものを否定された」と感じやすい傾向があります。
しかし実際には、拒絶や注意は行動や状況に対して行われるもので、あなたの存在価値を否定しているわけではありません。
- 「書類の提出が遅れたから注意された」
=行動の改善を求められている - 「この案は採用できない」と言われた
=提案が合わなかっただけで、人格否定ではない



やるべきは「行動の修正」。
「自分の価値」は切り離すことがポイント。
2.過去の拒絶された経験を書き出して、客観的に見る
拒絶の恐怖は、過去の似た経験から強くなることがあります。
そこで、これまでに「拒絶された」と悩んだことを紙やメモアプリに書き出してみましょう。「相手は本当に自分を完全否定していたのか?」を振り返ってみてください。
多くの場合、
- 実は相手はあなたの人柄を嫌っていたわけではない
- その場の状況やタイミングが悪かっただけ
- 怒っていたのは自分ではなく失敗に対して
このような気づきにつながります。
コツは、過去の記憶を「事実」と「解釈」に分けて整理すること。「あれは自分の思い込みだったかもしれない」という発見につながります。
3.「全員に好かれるのは無理」と自分に言い聞かせる



人間関係で、全員に等しく好かれるなんて絶対ムリ!
定型発達の人(ADHDじゃない人)でも拒絶される経験はあります。
全員に好かれるよう無理するより、合う人と長く関係を築くほうが建設的だと思います。10人中1人に拒絶されても、残り9人と良好な関係を持てれば、居場所は安定です。
「拒絶=世界の終わり」ではなく、「自分と合わない人だったんだ」ととらえても良いと思います。
4.「完璧」ではなく「できる範囲でOK」と考える
ADHDの人は、過去の失敗経験から「人に迷惑をかけてはいけない」「完璧にやらなきゃ」と思い込みやすいです。
しかし、完璧主義は拒絶される恐怖を大きくさせる原因にもなります。
「できる範囲でベストを尽くす」ことに意識を切り替えると、失敗や注意を受けたときの自己否定感を減らせます。
- 全部自分でやろうとせず、分からないことは早めに聞く
- 80%の完成度で提出して、アドバイスを受けて仕上げる
5.信頼できる人とつながる



安心できる人間関係はなんやかんや大切。
一部の人に絶されたとしても、自分を受け入れてくれる人は他に必ず存在します。
弱音を吐かない「いい子ちゃん」で居続ける必要はありません。
- 信頼できる友人や家族
- 同じ特性を持つ仲間が集まるコミュニティ
- カウンセリングやコーチング
など、自分の内面にダメージを溜めず、誰かに吐き出して浄化しましょう。
「拒絶される恐怖」はゼロにはならないけど…


拒絶の恐怖をなくそうと思うほど、かえってマイナスな感情に意識が向いてしまいます。
ADHD特有の敏感さは、一朝一夕で変えられるものではありません。だからこそ、目指すのは恐怖をゼロにすることではなく、“上書き”していくこと。
- 「何に対する拒絶なのか?」を言葉で確認する
- 拒絶された経験を事実と解釈に分けて考える
- 合わない人よりも合う人に目を向ける
これを繰り返すことで、「拒絶=世界の終わり」という思考は少しずつ薄まります。
そして大切なのは、あなたの価値は、誰かの反応や評価では決まらないということ。拒絶を恐れる敏感さは、裏を返せば「人の感情に敏感に気づける」という強みでもあります。